玩具
新型コロナウイルス感染拡大により自宅で過ごす時間が増えたことは、中国における玩具業界の成長に寄与しました。日本の玩具業界が中国進出をするチャンスとも言えますが、進出を考えるならメリットとともに課題も知っておいてください。
玩具業界の中国市場（2022年）
2022年度の玩具業界の中国市場は、猛暑の影響を受けて暑さ対策ともなる玩具の売れ行きが好調でした。代表的なのはプールと水鉄砲です。しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で自宅にて過ごす時間が増えたことを受け、中国では玩具市場全体が成長していると報告されています。プラスチック製積み木やぬいぐるみ、人形、リモコンで動くおもちゃなどのニーズも増しています。
2023年2月に日本貿易振興機構から報告された内容によると、2015年から2020年にかけて、玩具市場の規模は約4倍※にも成長したとのことです。2022年には2020年の約2倍にまで成長する見通し※であったことも踏まえて、中国市場における玩具業界は急成長していると言えます。
玩具業界の中国進出のメリット
2022年、中国では日本のカプセル型トイに似ている「盲盒（ミステリーボックス）」が大流行しました。中国国家市場監督管理層局では、販売に歯止めをかけるために規制案が敷かれたほどです。また日本でも人気の高い、オビツ製作所製の関節可動式の人形である「オビツボディ」に似た製品が、中国で販売されていたこともありました。
以上のように日本製の玩具は、中国の玩具市場でも人気を獲得できる可能性は十分にあると考えられます。日本では一般的となっている玩具であっても、中国市場で展開すれば新たな玩具として広く受け入れられる可能性があります。中国では低賃金・低コストで玩具を生産しやすいこともあり、費用対効果の高い販路を形成できるかもしれません。
玩具業界の中国進出の課題
これまでは世界に流通する玩具のうち、約80％が中国の下請け企業で製造されていました※。そして製造された玩具のほとんどはアメリカの企業を通じて、世界各国に販売されていましたが、現在では違います。現在では中国の企業が自主開発をした玩具を製造し、海外企業を通じて販売するという仕組みができあがってきています。
そのため「低賃金・低コストで玩具を製造できる中国」の状況ではなくなり、日本の玩具メーカーが中国の工場を活用する図式は成り立たないかもしれません。中国で開発された玩具の中には、短期間で開発・製造され、世界での人気を獲得しているものもあります。日本企業が中国進出を考えるなら、中国企業に負けないアイデアと製造体制を整えなければならないと考えられます。
玩具業界の中国進出【成功事例】
玩具業界で中国進出を果たして成功した事例として、バンダイナムコの例があります。バンダイナムコホールディングスには中国でも人気の高い「機動戦士ガンダムシリーズ」があり、中国での作品も展開している歴史がありました。その人気を活用して中国にて事業子会社を設立し、事業拡大を目指したとのことです。
編集チームまとめ
中国における玩具業界は急成長を遂げており、進出により大幅に売上を伸ばせる可能性のある市場です。しかし現在の中国では玩具の製造はもとより開発も盛んとなっており、低賃金・低コストでの製造を目的とした進出は難しいかもしれません。
しかしバンダイのように成功した事例もあります。中国進出支援を受けることでさらに進出しやすくなるはずなので、日本の玩具業界で海外展開を考えているなら、中国への進出を検討してみてはいかがでしょうか。
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